起点と終点の値は一致するけど途中経過が全然違う件。
新NISAが始まってから以前よりもさらに目にするようになった「月*万円を年利回り#%で運用した場合」といった記事。その類の記事は投資経験が人に対して銀行預金のように常にプラスになると印象を与えているように思えます。
現実では上げ下げを繰り返して全体的には右肩上がりでトータルで年利回り#%となっている。年利回り#%って文字だけが一人歩きしていて途中の上げ下げの存在がなかったかのように扱われている印象。
そこで、投信の基準価額から年利利回り(複利)を計算しその元の基準価額と比較を改めてしてみました。
取り上げたインデックスファンドは以前の記事でも取り上げた三井住友トラスト・アセットマネジメントのDC外国株式インデックスファンドL。21年の実績があるからこういう確認にはもってこい。
上記の記事では月末時点での基準価額の数値をもとに年間騰落率を計算しています。そのデータを流用し、2003年から2024年までの1月末時点の基準価額をもとに年利回り(複利)を計算しました。
・2003年1月31日:9,232円
・2024年1月31日:76,000円
・年利回り(複利):10.56%
思っていたよりも高い利回り。
この年利回りの数値を使って2003年1月31日を起点にして得られる基準価額を重ね合わせるとこんな感じに。始点と終点はぴったり一致します。そういう計算式なので当然。
問題はこの期間の大半で利回りから計算される基準価額を下回っていること。計算値のきれいな曲線を期待していると突如起きる下落にパニックになることは想像に難くない。新NISAで投資を推すのであればこれだけの途中の上げ下げがあった結果としての年利回りなんだよ、ということをもっと前面に出して説明した方がいいと思うんですけどね。きれいな曲線だけでシミュレーションしていると痛い目にあってやっぱ投資はダメだってなる人が続出するような。
そこら辺の事前調査も含めて「投資は自己責任だ」と言われればそこまでなんだけど。