言葉の定義を正しく認識しないと「そんなの聞いていない」ってなる恐れがある。
資産所得倍増プラン。NISA総口座数や買い付け額の倍増ではないことが先日判明しました(私の中で)。
このプランが公表された当初から「資産運用収入そのものの倍増も見据える」と書いてありました。なるほどそういうことか、と理解したつもりになっていたのですが、ふとした瞬間に「資産運用収入って何のこと?資産所得って何のこと?」と気になった。
何となくこうかな、というイメージを持っていますがそれが「新しい資本主義実現本部」の考える定義と同じであるとは限らない。何が資産所得なのか、何が資産運用収入なのかの定義は、これまで公表されている会議資料には見当たりません。
私が考える資産所得、資産運用収入は「利子、配当、譲渡益」です。
資産所得倍増プランの「基本的な考え方」の中に以下の記載があることからも、配当、譲渡益である可能性は高い。私が一部を太文字表記にしています。
我が国の家計金融資産 2,000 兆円は、半分以上がリターンの少ない現預金で保有されており、年金・保険等を通じた間接保有を含めても、株式・投資信託・債券に投資をしているのは 244 兆円、投資家数は約 2,000 万人にとどまる。
他方、米国や英国では、中間層でも気軽に上場株式・投資信託に投資できる環境が整備されており、米国では 20 年間で家計金融資産が 3.4 倍、英国では 2.3 倍になっているが、我が国では 1.4 倍に留まっているのは、こうした投資環境の違いが背景にある。
引用元:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai13/shiryou3.pdf
配当を倍増させるのに一番簡単な方法は口数、株数を倍にすること。それでめでたく配当は二倍に。数字上は間違いなく資産所得倍増。めでたしめでたし。コレをもって計画どおりだ!とは言われたくない。
譲渡益にも同じことが言えます。でも譲渡益は売ってしまったらそれっきりなので資産所得倍増の対象に含めるのは違うような気がします。
言葉の定義がなされていない背景に、以下があるのではと邪推しています。
・当初、「所得倍増だ」と言ってしまった。
・海外では金融資産が20年で2倍以上に。
・所得倍増させると言った手前、取り下げにくい。
・じゃあ金融所得倍増でお手打ちだ。
個人的には資産所得倍増プランよりも金融資産倍増プランと言われる方がすっと入ってきます。それも投資経験があるからなので、投資経験のない多くの人に受け入れられるため(ごまかすため)にあえて資産所得倍増プランと言っているような気がしてならない。
真実は何だろう。